ダッカにて(2)
1993年4月29日
ダッカでは、日本でバングラデシュ関係のNGOを運営する J夫妻のお友達、Aさんのマンションに滞在している。Aさんは、40過ぎの独身の男性で、ダッカの中心地の8階建てのマンションの最上階に、手伝いの男の子2人と一緒に住んでいる。この社会で、この人はおそらく「上層階級」に位置すると思われる。物価がだいたい日本の10分の1ほどのこの国で、家賃が日本円にして7万円ぐらい(ひと家族の2~3ヶ月分の生活費)のマンションに住み、高そうなオーダーメイドの家具をしつらえて、洗濯は全て近くの一流ホテルのランドリーサービスに出している。毎日、おそろしく香りの良い生の花をたっぷり飾って暮らし、屋上でバラも育てている...
1993年4月30日
Aさんは、いつも自動車で移動する。もちろん運転手つき。彼はあまり道を歩かない。そして、私にも歩かせまいとする。歩いたり、サイクル・リキシャ(自転車が前についた人力車)に乗ったりする方が私は面白いし、第一、ダッカは車に乗って移動するほど大きい街じゃないのに。
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