ダッカにて(6)
1993年6月30日
今朝、ここ(Aさんのマンション)にナップサックを背負った少年がやってきた。どうやらこの少年、家々を個別にまわって、お酒を売る商売をしているらしい。飲酒はイスラムでは禁じられている。それでも、やはり飲む人は飲むのだろう。こうやって、ちゃんと流通している。そういえば、ホームパーティーも、ほとんどがアルコールありだ。
1993年7月1日
いよいよインドにむけて出発する。アブル(ここの使用人の男の子)に、お駄賃としていくらかあげた。彼は別にありがとうとも何とも言わなかったが、それでも何となく、それらしき雰囲気が全身から出ていた。こういう物言わぬ存在との別れが一番つらい。彼のご主人とちがって、私は彼に対して友好的だったし、彼も、私に対して比較的心を開いていたと思うので。
ここの人たちは、いつも私に、使用人は彼らにとって家族の一員みたいなものだと言っているけれど、でも、本当にそう思うのだったら、この幼い使用人たちをせめて学校に行かせてあげればいいのに、と思う。アブルはわずか10歳。教育を必要としているし、だいいち、友達だって欲しいだろうに。この子は、おそらくお祈りの仕方さえ知らない。だれが家族の一員をこんなふうに扱えるだろう?
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