Bengal Report

1993年から1994年にかけて、バングラデシュとインド(西ベンガル州)に滞在した。いちおうベンガル語の学習という名目の「留学」だったが、本当の目的は、これら2つの国にまたがるベンガル地方の文化や自然を身体で感じることだった。とりわけこの地方の人々の信仰に興味を抱いていた。これはそのときの滞在記。

August 05, 2007

シャンティニケタンにて(11)

1994年2月24日

昨日、スサントがひどく怒っていたので、どうしたのか聞いてみたところ、「今日、日本人の女の子が重そうな荷物を持ってたから、それを持ってあげたら、その子はお礼にといって、タバコを一箱、僕によこしたんだ。許せない。」

スサントは、なにか侮辱されたように感じたようだ。インド人、特に英語をあまり話さない、さほど西洋化されていない階級のインド人たちは、人に何かしてもらったとき、滅多にお礼を言わない。お礼を言ったり、お返しをしたりすると、彼らの好意を突き返されているように感じるらしいのだ。特に、仲の良い間柄では、絶対といっていいほど「ありがとう」を言わない。

そういえば、私も、家族には「ありがとう」を言わないな...


1994年3月27日

今日はホーリー(春祭り)。みんな黄色いサリーを着て、朝から色粉のかけ合い。誰かれかまわず、ピンクや赤のどぎつい色粉を頭からふりかける。インドの他の地域では、色水をかけ合うところもあるらしい。服はもう一瞬で台無し。東南アジアの「水かけ祭り」に相当するのかな。とにかく春の到来を祝う盛大なお祭り。


1994年4月3日

最近、シャンティニケタンの道という道に、何ともいえない甘い花の香りが漂っている。特に夜。リキシャで家に帰る途中、気を失いそうなほどの強烈な花の香り。一種類ではない様子。色んな種類の。

春だ。日本の春よりも、はるかに濃厚で、色っぽい。

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