シャンティニケタンにて(11)
1994年2月24日
昨日、スサントがひどく怒っていたので、どうしたのか聞いてみたところ、「今日、日本人の女の子が重そうな荷物を持ってたから、それを持ってあげたら、その子はお礼にといって、タバコを一箱、僕によこしたんだ。許せない。」
スサントは、なにか侮辱されたように感じたようだ。インド人、特に英語をあまり話さない、さほど西洋化されていない階級のインド人たちは、人に何かしてもらったとき、滅多にお礼を言わない。お礼を言ったり、お返しをしたりすると、彼らの好意を突き返されているように感じるらしいのだ。特に、仲の良い間柄では、絶対といっていいほど「ありがとう」を言わない。
そういえば、私も、家族には「ありがとう」を言わないな...
1994年3月27日
今日はホーリー(春祭り)。みんな黄色いサリーを着て、朝から色粉のかけ合い。誰かれかまわず、ピンクや赤のどぎつい色粉を頭からふりかける。インドの他の地域では、色水をかけ合うところもあるらしい。服はもう一瞬で台無し。東南アジアの「水かけ祭り」に相当するのかな。とにかく春の到来を祝う盛大なお祭り。
1994年4月3日
最近、シャンティニケタンの道という道に、何ともいえない甘い花の香りが漂っている。特に夜。リキシャで家に帰る途中、気を失いそうなほどの強烈な花の香り。一種類ではない様子。色んな種類の。
春だ。日本の春よりも、はるかに濃厚で、色っぽい。